・1991年3月13日(晴) 昨日のうちに申込をしていたオプショナルツアーに参加することにした。いくつかオプショナルツアーがあったのだが、我々が選んだのは「フェザデールワイルドライフパークとブルーマウンテンズ半日コース」だ。
フェザデールのほうはコアラが抱ける動物園(2000年現在コアラを抱くことは出来なくなったとのこと)である。私たちの目的はコアラよりもブルーマウンテンズだったのだが、そちらだけのツアーはなかったので仕方なくこのツアーを選択した。
ガイドはよしこさん。ドライバーはGregと昨日とまったく同じ顔ぶれだった。このツアーに参加したのは我々3人の他はみんな女の子だった(この日に他の人と仲良くなれたのではあるが...)
通常フェザデールによってからブルーマウンテンズに向かうそうなのだが(そのほうが移動が効率的)そうすると、ブルーマウンテンズで大手のツアーとバッティングしてトロッコの乗車待ち時間が30分以上かかる可能性があるということで、先にブルーマウンテンズに向かうことになった。
ブルーマウンテンズは別にコーヒーと関係があるわけでなく、山が青く見えるからそう呼ばれている。ユーカリの木は光合成を行う過程でアルコールを生成する(エコカーでユーカーリを使うというのがあったような)。このアルコールが蒸気になって空中を漂うとき光の屈折率により全体に青く見える。この山にはユーカリが多いため、山全体が青く見えるということだ。従って火気厳禁となっており、日によっては立ち入りそのものが制限されることもあるらしい。 |
ブルーマウンテンズ最大の見物は最大斜度52度(標高差650m)を一気に下るトロッコである。今回オプショナルツアーを選択したのはこれに乗るためだ。
実際に下を見下ろすと、もう垂直といっていい状態になっている。乗り込んだら足を踏ん張らないと落ちてしまいそうになる。しかもトロッコで周りがよく見えるため、スリル満点の乗り物といえる。
その後スリーシスターズへ。ここではSky
Wayと呼ばれるロープウエーから見学する。このロープウエーは通常のものと異なり、斜面を登るのではなく崖から水平に数百メートル移動する(ちょうど空中に見えない道があるかのごとく)もので、先端にいくと360度のパノラマが楽しめる。でも高所恐怖症の私にとっては楽しいものではなかった。
スリーシスターズは、3人の美しい娘が怪物に見初められ、花嫁としてとられそうになった父親が、魔女に頼んで3人を岩にしてもらって怪物の目を逃れたことに由来している。
なぜ3人の娘が今も岩のままなのかというと、父親の行為に気がついた怪物が怒って、父親と魔女を殺してしまったため、魔法が解けなくなってしまったためだ。 |
ここから見えるのは山・山・山なのだが、それらにはすべてトレッキングコースが設定されているそうだ。ドライバーのGregさんと少し話をしたのだが、半年働いてお金をためて、残り半年でこの山に入りずっとトレッキングを続けるという生活をしている人も多いということだ(トレッキングに数ヶ月かかるコースもあるというからとんでもないスケールだ)
Gregさんも一生ドライバーを続ける気は当然なく、とりあえずお金をためて旅行がしたいということだ(日本語が話せるとギャラが多くなる=ガイドが必要なくなる、ので現在日本語を勉強中だともいっていた)
その後、途中の村のホテルで昼食となる。このホテルはなぜかHotel
Californiaという名前であった。ここはスープがおいしいということで、よしこさんが直接申込を行ったらしい(大手と違い、このあたりの融通は利くようである)白ワインがおいしいということなので試してみたのだが、確かにおいしかった。
1時間あまりの食事の後、最終目的地であるフェザデールに移動した。ここではコアラを抱いて写真が撮れるのがウリになっている。我々は当初遠慮したのであるが、結局は写真を撮ることになってしまった。
コアラを抱けるといっても直接抱けるのではく、コアラのぬいぐるみに抱きついたコアラを抱くという回りくどいことをさせられる。コアラは非常に繊細な動物で、ストレスからすぐに死んでしまうため、このような方法をとっているということである。本物のコアラは毛が非常に堅く、当然ながらぬいぐるみに比べてかわいくなかった。
コアラの人気はぬいぐるみ制作者のおかげなんだろう。
これでオプショナルツアーはすべて終了した。バスはホテルまで戻ってくれることになっていたが、時間節約のため我々はサーキュラーキーでおろしてもらった。
実は大阪組のFくんと当日の夜、オペラハウス見学をしようと約束をしていたのである。そこでチケットを購入しにいったのであるが...見事玉砕してしまった(すべて売り切れ)
あわてた我々は急ぎホテルに戻り、Fくんに連絡をとろうとしたのだが、どうもどこかに出かけているようだ。仕方がないのでフロントにメモを渡し、チップの意味で1$コインを預けた。
その後時間の余った我々はシドニータワーをめざして歩くことにした。途中下町のようなところも通ったのだが、特に怖い思いをすることはなかった。
シドニータワー自体は、どこにでもあるようなタワーで特に目新しいことはなかったが、そこからの眺めは結構なものだった。
夕食をとる時間になったので、シドニータワー近くの中華料理店に入った。ここのマスターは変な人でなにかというと「カツシン!」と叫び、お箸を刀のように振り回していた。勝晋の大ファンだそうだ(ちょうどこの時期、例のパンツ事件の直後だったので、その話をしたら受けていた)
思ったより遅くなってしまったので、さすがに徒歩で戻るのは危険だろうということで、タクシーを利用した。きちんとメーター料金のみの請求だから安心して乗ることが出来る。
途中キングスクロスを通ることになるのだが、街角には人目でそれとわかる女性(ここシドニーでは売春は政府公認となっていた)が立っていた。その中の一人が信号待ちをしている我々のタクシーによってきて声をかけてきたりした(非常に直接的な表現だったとだけ記載しておこう)
でもここの女性ってみなデカイから非常に怖い。
まだFくんはホテルに戻っていなかった。結局Fくんとは翌朝まで連絡をとれなかったのだが、結構間抜けな結末が待っていた。
というのは、チップのつもりフロントに渡した1$が丁寧に封筒に入れられてメモとともにFくんに手渡されたというのだ。Fくんはなんのことだかわからなかったらしいが、質問することも出来ずにとりあえず受け取ったということ。
うーん、我々の語学力のなさにあきれはてる出来事であった。
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